✦ネガティブな感情との付き合い方
目次
ネガティブな感情を認める(1)心のお天気
どんな感情も「認める」
フォーカシングでは、どんな感情に対しても、まず自分の内側にその感情・感覚があることを「認める」ことから始めていきます。
この部分がわくわくしているとか、
ここに、悲しい感じがあるねとか、
ポジティブな感じも、ネガティブな感じも分け隔てなく、自分の内側の感情・感覚を、まずは、ありのまま受け止め、認めてあげます。
感情・感覚は、お天気のようなもの
とはいえ、ネガティブな感情は避けたい!!と思うのが、人情というもの。
感情・感覚を分け隔てなく認めましょう、受け止めましょう、というは易し行うは難しですよね。
そこで、まず、感情・感覚は、お天気のようなものと考えてみるのは、どうでしょう。
お天気に、いい悪いはありません。
晴天の日があり、曇りの日があり、暴風雨の日もあるでしょう。
晴天続きが良いかというと、雨が降らなければ水不足になります。
かといって雨続きでは、洗濯物が乾きません。
晴れの日も、雨の日も、それぞれに、生活に必要なお天気です。
「心のお天気」
フォーカシングをつかったワークに「心のお天気」があります。
「心のお天気」は、自分の内側に「今、自分はどんなお天気かな?」と、今の気持ちをお天気に例えて、絵で表現するやり方です。
自分の内側にある感情・感覚を、まずそのまま「今、そんな感じだね」「そういう気持ちがあるね」と認めてみる。
遊び心も交えながら、心をお天気に例えて、やってみるのはいかがでしょう?
ネガティブな感情を認める(2)ネガティブな感情に眠る宝物
ネガティブな感情の中には…
フォーカシングでは、どんな感情・感覚も分け隔てなく、まずは、ありのまま「認める」ことから、スタートします。
でも、どうしてネガティブな感情を認めなくちゃならないの?ネガティブな感情なんて感じなければいいのに~!と思った方は、いらっしゃいませんか?
実は、ネガティブな感情の中には、私たちにとって必要なヒント、成長のきっかけ、宝物が詰まっているのです。
すべての感情には役割がある
アメリカの心理学者ポール・エクマン博士は、人間の感情を怒り、嫌悪、恐れ、悲しみ、驚き、幸福感の6つに分類し、すべての感情には役割があるとしています。
ちなみに、怒り、恐怖心、悲しみ、嫌悪は、注意深さや警戒心を生み、外敵から身を守ってくれる役割があるそう。
なるほど、私たちにとって、感情がなんらかの役割を果たしてくれているのは、間違いないようです。
上手に付き合い、その声を聴く
たとえちょっと気に入らなくても、手が大きすぎるから指を切り離して捨てちゃおうとか、足が短いから挿げ替えちゃえとか、自分の身体を捨てたり、なかったことにしたりしませんよね。
同じように、自分にある感情は、ネガティブな感情・感覚も、それなりになにか自分の役にたとうとしてくれている、と考えてみませんか?
ネガティブな感情・感覚を切り捨てたり、なかったことにするのではなく、上手に付き合い、その声を聴くことで、私たちは、新しい発見、宝物を見つけることが出来るでしょう。
ネガティブな感情を認める(3)おつきあいの第一歩
ネガティブな感情を「認める」って?
前項で述べたように、ネガティブな感情・感覚にも役割があり、私たちに、何か役に立とうと訴えかけてくれています。
でも、悲しみや怒りといった形で訴えるので、私たちは耳を傾けるのが困難だったり、出来れば避けたかったり・・・
そもそもネガティブな感情を「認める」って、どういうこと?何をすればいいの?
駄々っ子ちゃんに接するように…
ここでちょっと、小さい子どもが、駄々をこねている場面をイメージしてみましょう。
駄々っ子ちゃんが、べそをかきながら、こちらに向かって、何かを訴えています。
大人の私たちは、まず、駄々っ子ちゃんと同じ目線にしゃがんで、「どうしたの?」と耳を傾けるのではないでしょうか?
あるいは、手を差し伸べて抱っこするかもしれません。
子どもに対して「うるさいから、あっちに行けっ」と怒鳴ったり、無視したりしたら、駄々っ子ちゃんは、ますます大声で泣きわめいたり、じたばた暴れるでしょう。
まずその感情があることをありのまま認める
駄々っ子ちゃんに接するのと同じように、ネガティブな感情・感覚に接してみませんか?
まず、自分にその感情があることを、ありのまま認めてあげましょう。
「ああ、私は今、そんな感じがしているよね」
「そんな気持ちあるんだね」
と、駄々っ子に寄り添うように、やさしく、その感情・感覚を、操作せずに感じてみましょう。
やさしく、ありのまま感じていると、なにか感情・感覚が変わったり、ふっと新しい感じ、発見が生まれるかもしれませんよ。
<ネガティブな感情を認める(4)圧倒されるような感情>
自分が圧倒されるほどの大きな感情
ネガティブな感情にも、やさしく「認める」のがフォーカシングの第一歩・・・
そうはいっても、時折、私たちには、自分が圧倒されるほど、大きな感情が襲ってきます。
やさしく目を向けられないような、圧倒的な感情・感覚が襲ってきたら!?
圧倒的な感情は、思春期の暴れん坊のよう。
ちいさな子どもが泣いているぐらいだったら、やさしく声をかける=認めることは、比較的やりやすいかもしれません。
でも、暴れているのが、思春期の子どもだったら!?
身体は大人ほども大きくて、力が強くて、壁にパンチして穴をあけたり、キックされそうだったりしたら!?
とても近づいて、声をかけたり、抱っこしたりなんて、出来そうもありませんよね。
距離を取る
そんな時は、まず、その感情・感覚を安全に感じられるよう、距離を取りましょう。
暴れん坊のキックやパンチが届かない=圧倒されないお部屋のドアや強化ガラスの衝立のこちら側など安全な場所に身を置きましょう。
もしかしたら、感覚・感情の気配を感じるぐらいが安全かもしれません。
深呼吸を2~3回して、自分の内側にスペースを作ってあげるのも有効です。
わかる
十分に安全な距離を確保し、圧倒されずにその感情・感覚を感じられる状態になったところで、なにはともあれ、そこに感覚・感情があることは、わかっておきましょう。
「そんな感じあるんだよなあ」
「そんな感じがあるって、わかってるよ」
「なにか訴えたいことがあるんだよね。それはわかったよ」
と、気持ちをむけてあげられるでしょうか?
できない時
やさしくなんて、できない!?圧倒される感情が怖い!?
もちろん、それもあり。
「やさしくできないよなあ」
「こんなネガティブな感情、感じたくないよねえ」
「すごく怖くて、感じたくないの・・・」
と、優しくできない感じ、感じたくない感じも、ちゃんとわかって、認めてあげましょう。
圧倒されるような強い感情・感覚は、思春期の子供と一緒で、言いたいこと、訴えたい思いがたくさん詰まっていて、大爆発を起こしているのかも。
安全に上手につきあっていくことで、新しい、大きな発見につながっていくかもしれませんよ。