✦フォーカシングのある暮らし
フォーカシング・ネットワークでは、「フォーカシングを学ぶことは、どんな役に立つか」と題し、フォーカシングの効果を久羽トレーナーが紹介しています。
このコラムでは、具体的に日常生活にフォーカシングが役立つ場面をご紹介していきます。
目次
- 1 フォーカシングのある暮らし (1) 今日の調子をチェックする
- 2 フォーカシングのある暮らし (2) フォーカシングはお金がたまる???
- 3 フォーカシングのある暮らし (3) 気がかりを整理する
- 4 フォーカシングのある暮らし (4) 人生はアート
- 5 フォーカシングのある暮らし (5) 自然を感じる
- 6 フォーカシングのある暮らし (6) いい感じを十分に味わう
- 7 フォーカシングのある暮らし (7) フォーカシングでデジタルデトックス
- 8 フォーカシングのある暮らし (8) 芸術を味わう
- 9 フォーカシングのある暮らし (9) 季節の移り変わりを感じる
- 10 フォーカシングのある暮らし (10) 師走のフォーカシング
フォーカシングのある暮らし (1) 今日の調子をチェックする
フォーカシングとは?の小見出しにもあるように、私たちは、日常生活の中で「ちょっと立ち止まって、今ここでの自分自身に注意を向け」ることで、自然で自分らしい、ありのままの自分でいやすくなります。
しかし、「私たちの多くは、しっかりと自分自身を感じ取ること、自分自身に注意を向けることに、あまり慣れていません。」だからこそ、日常生活の中で、ちょっと自分を感じる機会を意識的に取り入れていくことが大切です。
まず手始めに、朝起きた時や仕事や学校が始まる前、今の自分の身体の感じに注意を向けてみませんか?
「今の自分は、どんな感じがしているかな?どんな調子だろう?」と自分の身体全体を感じて、三段階で表現してみましょう。
やる気満々絶好調の〇、まあまあそれなりの△、へとへとくたくたの×で表すとしたら、どれでしょう?
どんな感じ、どんな調子も、今の自分の正直な感じ。
一日をスタートするにあたって、「ああ、今日の自分は、こんな感じなんだなあ」とジャッジせずにわかっておきましょう。
今日一日を、ありのままの自分で、よりよく過ごす余裕がうまれることでしょう。
フォーカシングのある暮らし (2) フォーカシングはお金がたまる???
貯蓄を増やすコツは、無駄遣いをしないことだそうです。
現代社会は、マスメディアからSNSまで、消費行動を奨励するコマーシャリズムにあふれています。
だからこそ、一時的に欲しい気持ちが盛り上がっても、本当に自分に必要かどうか、一度自分に問いかけてみる。
それによって無駄をなくし、本当に必要なものだけを選んで買えるのだとか・・・。
ん? これって、まさにフォーカシングじゃないの!?
「これ、欲しいっ!!」大きな感情が湧き起こったら、まきこまれずに、ちょっと立ち止まってみる。
そして、スペースをとって、確認する。
「本当に、必要かな?」
情報過多な現代、自分の外側にのみ意識を向けているのは、アクセルを踏み続けているようなもの。
意識的にブレーキをかけ、自分の内側を感じることで、安全に、自分だけの景色を楽しむことができます。
衝動的に何か欲しくなったら、「本当に欲しいのかな?必要かな?」と一度自分の内側に問いかけてみるのはいかがでしょう?
入用なものは購入し、そうではないと気づいたものにはお財布を開かない。
もしかしたら、無駄遣いが減って、お金がたまるかもしれませんよ。
フォーカシングのある暮らし (3) 気がかりを整理する
みなさんは、日常の中で、頭の中がごちゃごちゃになることはありませんか?
あれもやらなくちゃ、これもやらなくちゃ、あっちはどうなってた?
それもやるべきだったっけ?
こんなこともあったよ~・・・
等、忙しければ忙しいほど、気になることがいっぱいで、なにから手を付けていいのかわかりにくくなること、起こりがちですよね。
そんな時に役立つのが、「クリアリング・ア・スペース」。
フォーカシングネットワークでも使用しているテキスト『フォーカシング・ワークブック』(近田輝行・日笠摩子編著:金子書房)にもあるように、「クリアリング・ア・スペース」は、ジェンドリンのフォーカシングの6ステップの最初のステップで、「すっきりした空間づくり」、気がかりから「間を取る」「距離をおく」方法です。
ごちゃごちゃを整理するための第一歩は、深呼吸。
そして、紙とペンを準備しましょう。
次に、「今、気になっていること、なんだろう?」と自分に問いかけてみます。
「○○のこと」と気がかりが1つ出てきたら、自分にわかるようにメモしておきます。
また同じように、自分に気がかりについて問いかけてみましょう。
「△△のこと」と出てきたら、メモします。
同様に、ある程度頭の中のごちゃごちゃが、紙に書き出せるところまで、問いかけとメモを繰り返します。
コツは、1つ1つの気がかりに入り込まないこと。
いろんな書類の入ったフォルダに名前を付けておくように、「○○のこと」とだけわかっておきます。
中身の書類を読む、つまり、気がかりを丁寧に感じるのは、後に取っておきましょう。
ある程度気がかりを書き出せた感じがしたら、紙全体を眺めてみましょう。
どんな感じがしますか?
どんなことに気がつきましたか?
どれから手をつけるのがよさそうですか?
ごちゃごちゃを書き出すことで、自分が抱えている気がかり全体を眺めることができ、余裕が生まれます。
丁寧にかかわりたい気がかりも、見えてくるかもしれません。
忙しいときほど、立ち止まって気がかりを整理してみる。お勧めです。
参考
クリアリング・ア・スペースを目的とした様々な工夫が編み出されています。
ご参考にいくつかご紹介します。
近田輝行・日笠摩子編著『フォーカシング・ワークブック』(2005, 日本・精神技術研究所)収載
- 近田輝行「イメージを使ったこころの整理」:イメージを使い気がかりから間をとる方法。クリアリング・ア・スペースの基本。
- 土江正司「こころの天気」:心の様子を天気で言い表したり、用紙に描いたりする。
- 妹尾光男「箱イメージ法」:4つの箱が書かれた用紙を使い、気持ちを整理箱に入れていく。
- 笹田晃子「紙に描きながら(「こころの整理」)」:紙に描きながら行う。付箋を利用することもできる。
村山正治監修,日笠摩子ほか編著『フォーカシングはみんなのもの: コミュニティが元気になる31の方法』(2013,創元社)収載
- 近田輝行「公園のベンチ: 描画によるCAS」:あらかじめ公園とベンチ、木々や遠くの山が描かれているワークシートを用いる。
フォーカシングのある暮らし (4) 人生はアート
「アート」という言葉から、どんなことを連想しますか?
絵画や美術品?建築?文学?
なにやら高尚な香りの漂うイメージ・・・!?
いえいえ、アートは、もっと身近なものでもあるのです。
誰しも1度は、絵を描いたり、携帯で写真を撮ったり、お花を生けたり、年賀状をデザインしたことがあるのではないでしょうか?
これらは、まさに身近なアート。
ジョンレノンは、Our life is our art. (人生はアートだ)という言葉を残しています。
私たちの意識次第では、お料理の盛り付けやテーブルセッティング、毎日着るお洋服の選択さえも、アートになりえます。
この器とお料理のバランスは、どうだろう?
このコーディネートは、しっくりきてるかな?
忙しい日常の中で、ちょっと立ちどまって、内側に問いかけ、美しさを感じてみる。
アートは、まさにフォーカシング。
内側から生まれるアートは、私たちの人生を美しく彩ってくれます。
フォーカシングのある暮らし (5) 自然を感じる
海外のフォーカシングフレンドが東京の街を歩いた際、眉をひそめて言った一言。
「日本は、どうして、こんなにうるさいの?」
確かに、私たちの日常は、情報と刺激にさらされています。
街を歩けば、ネオンサインや看板広告など目から入ってくる情報、音楽や呼び込みなど耳から入ってくる情報、香水や柔軟剤の人工的な香りなど、「うるさい」要素がいっぱいです。
情報と刺激が多い社会に生きている私たちは、知らず知らずのうちに少し感覚を鈍らせて適応せざるをえません。
(満員電車でくっついている人の身体の感覚やにおい、車内放送を全部感じていたら、おかしくなってしまいますものね。)
だからこそ、五感で自然を感じる機会を意識的に持ってみませんか?
風が顔をなでる感覚。
青空の雲の動き。
葉っぱの緑。
鳥のさえずりや川のせせらぎ。
日差しの温かさや、雨の日のしっとりした空気。
花の香。
どこにいても、私たちの周りには、自然があります。
ホールボディ・フォーカシングの創始者ケビン・マクベニューは、「環境に自分が支えられている感じを感じてみましょう」というガイドを使います。
日々の暮らしの中で、自然に包まれている自分の感じに意識を向けてみましょう。
閉じている感覚を開いて、環境に自分が包まれ、支えられていることを感じてみましょう。
いつもより、身体が解放されて、リラックスすることでしょう。
フォーカシングのある暮らし (6) いい感じを十分に味わう
「幸せになりたいですか?」
そう問われたら、もちろん答えはYES!!
NOと答えるアマノジャクさんは、少数派でしょう。
誰しもみんな幸せになりたい・・・けれど、「どうしたら、幸せになれるんでしょう?」と問われると、答えに窮する人も多いのではないでしょうか?
そもそも幸せとは何でしょう?
お金があったら幸せになれる?
有名になったら?
みんなに認められたら?
カリフォルニア大学のソニア・リュボミアスキー博士らのまとめた研究*によると、幸せは、50%の遺伝が関係しているといいます。
『幸せがずっと続く12の行動習慣』2012
日本実業出版社
じゃあ、残りは?
お金?
名誉?
地位?
実は、それら外的な要因は10%。残り40%は、日々の習慣や考え方に影響されているのです。
リュボミアスキー博士は、幸せになれる習慣の1つに、Replaying and savoring life’s joys(人生の喜びを繰り返し、深く味わう)ことを挙げています。
そこで、フォーカシングの登場です。
フォーカシングは、自分の感じに触れる方法ですよね。
問題解決だけに使うのは、もったいない!?
フォーカシングセッションの中でも、日常でも、「いい感じ」「ポジティブな感じ」が感じられた時は、十分に味わいましょう。
この感じのどこがそんなに「いい感じ」なのか、どんな風に「いい感じ」なのか・・・ゆっくり時間を取って、身体全体で「いい感じ」を堪能しましょう。
そして、いつでも繰り返し思い出せるように、言葉やイメージでマーク(印・ハンドル)をつけておきましょう。
フォーカシングで幸せになる。ちょっと、わくわくしませんか?
フォーカシングのある暮らし (7) フォーカシングでデジタルデトックス
スマートフォン全盛期の現代。
今や、電車の中を見渡すと、スマートフォンを使っていない人が少ないぐらいです。
SNSもゲームもインターネットも、操作すると、結果がすぐに反映されます。
その即時性が便利な一方、戦うか逃げるかの神経といわれる交感神経が優位になりやすく、いつもなにかに追われているような気持ちになったり、脳が興奮しやすい状態に。
反射的にメッセージを送信することで、うっかり間違いや後悔するようなミスにつながることもあります。
また、スマートフォンが気になって、目が離せなくなるスマホ依存症は、もはや世界的な問題となっています。
フォーカシングの5スキルである、「間を取る」で、スマートフォンはじめ、デジタル端末と上手につきあってみませんか?
画面を見ていてなにか感情が沸き上がったら、あるいは一定の時間がたったら、デジタル端末機器を操作する手を止めて、一呼吸おいてみましょう。
あまりにも気になるようだったら、裏返ししたり、鞄にしまったりして、見えなくするのもいいですね。
そして、今、自分はどんな感じがしているのか、感じてみましょう。
今の自分の感情や思考、身体の感じに、意識を向けてみましょう。
イライラ?
ムカムカ?
肩や目はどう?
「いいね」が欲しい?
「続き」が気になってしょうがない?
今すぐにでも、再開したい?
どんな感じ、どんな考えが浮かんでも、すぐに端末機器を手にせず、そのまま「あー、そうなんだなー」とゆったり時間をとって、わかっておきましょう。
すばやい反射の世界から少し距離を取り、地に足をつけた自分を取り戻しましょう。
すぐに世界とつながれる即時性があるスマートフォン。
便利な道具だからこそ、機器のご主人様たる自分自身が、ふりまわされることなく、意識的にコントロールして上手に使いこなしましょう。
フォーカシングのある暮らし (8) 芸術を味わう
芸術の秋。
絵画や写真、音楽を鑑賞したり、素晴らしい建築を訪れたり、仏像を参拝したりするのに、ふさわしい季節です。
みなさんは、芸術にどんなイメージを持っていますか?
もしかしたら、
学校のお勉強のような堅苦しいイメージがあったり、
敷居が高い気がしたり、
専門的な知識がないと興味を持ちにくかったり・・・・
それは、せっかく美しい価値あるものが目の前にあるのに、目をつぶってしまうことかもしれません。
芸術に関する専門的な知識がなくても、芸術に触れて、その場で、フォーカシングしてみましょう。
絵や音楽、対象となる芸術を目の前にして、自分の内側はどう感じているだろう?
どんな感じがわいてきたかな?
好ましい感じ?
なにか嫌な感じ?
圧倒される?
威厳がある?
ざわざわ?
どきどき?
ふんわりほんわか?
どんな感じも、自分自身の嘘偽りのない感じです。
芸術鑑賞に、正しい間違いはありません。
まずは、対象を、身体で感じてみましょう。
味わってみましょう。
頭で覚えた知識をなぞるだけではない、自分オリジナルの鑑賞は、新しい発見がある豊かな体験になるでしょう。
特別に美術館や芸術鑑賞に足を運ばなくても、ポストカードや写真集、画集のページをめくるときに、内側を感じてみるのも、手軽で楽しいフォーカシングですよ。
フォーカシングのある暮らし (9) 季節の移り変わりを感じる
『マインドフル・フォーカシング』のデヴィッド・ローム氏ご夫妻とお食事をする機会に恵まれた時、奥様が日本の二十四節気七十二候の魅力について、熱のこもった言葉でお話しくださいました。
日本人は、クリスマスやハロウィンなど、海外の風習を取り入れ楽しむのが上手ですが、二十四節気七十二候を意識している人は、そう多くはないかもしれません。
そもそも、二十四節気七十二候とは、なんでしょう?
二十四節気は、太陽の動きに合わせて季節の移り変わりを区分したもの。
有名なものに「冬至」「大寒」「立春」などがあります。
七十二項は、二十四節気をさらに3つに分けたもので、それぞれ、気象や動植物の変化を表す短い文になっています。
たとえば、太陽が真東から昇り真西に沈み昼夜の時間がほぼ等しくなる「立春」の「初候」である「東風解凍」は、「はるかぜこおりをとく」と読み、春風が厚い氷を解かし始める時期とされています。
美しい季節の区切り、季節の言葉がある日本。二十四節気七十二候を、フォーカシング的に身体で味わってみませんか?
ちょうど現在の二十四節気「立冬」は、冬の気配が感じられる時期。
末候の「金盞香」は「きんせんかさく」で、水仙の花が咲くころとされています。なんとも風流で美しいではありませんか。
外を歩きながら「立冬」を身体全体で味わう。
「金盞香」に目を向ける。
環境との相互作用で生きている私たち、四季のある国ならではの楽しみを、マインドフルに感じてみましょう。
フォーカシングのある暮らし (10) 師走のフォーカシング
師も走る、華やかながらも気ぜわしい12月になりました。
1年が終わっていくこの時期、フォーカシング的に今年振り返る時間を持つのはいかがですか?
やらなければならないことが山積みかもしれませんが、大掃除も、年賀状も、クリスマスも、ちょっとだけわきに置いておいて、自分のための時間を取って、深呼吸を2、3回。
さあ、心と身体の準備はOKですか?
今年全体をぐるっと振り返ってみましょう。
今年は、どんな1年だったでしょう?
どんなことがあったかなあ。
思い出すことあるかなあ。
今年が終わっていくにあたって、今、どんな風に感じているかなあ。
そんな風に、自分に問いかけると振り返りやすいかもしれません。
思いがけないことが浮かんでくるかもしれません。
出来てきた記憶、感じ、1つ1つが、自分の大切な今年の思い出です。
1つ1つ大切に「ああ、こんなことがあったなあ」「こんな風に感じたなあ」とわかっておきましょう。
指をおって数えたり、写真のようにアルバムに収めてみたり、内側のスペースに置いておいたり、手帳や日記に記しておくのもいいかもしれません。
12月の気ぜわしさからちょっと距離を取って、ゆったりした自分の時間を過ごしていると、新しい気づきが生まれるかも。
それはフェルトセンスからのプレゼントです。
終わり良ければ総て良し。
自分の心と身体にやさしい師走となりますように。