✦フォーカシングするのが難しくなる時:セルフガイドの要所
トレーナーの堀尾です。
今回は、自分でフォーカシングする際のセルフガイドの要所について、書いてみたいと思います。
(セルフガイドとは、フォーカサーが自分自身にフォーカシングをどのように進めるか提案することです)
目次
自分でフォーカシングする際のやり方
自分でフォーカシングを進める際には、『フォーカシング・ワークブック』で言えば、
「ジェンドリンの6ステップ早見表」(pp.77-79)、
「アン・ワイザー・コーネルの自分で進めるためのフォーカシング・プロセス」(pp.81-83)、
「フリードマンの8ステップ」(pp.91-93)
が参考になりますね。
これらは地図、あるいは、ガイドブックのようなものです。
フォーカシングは、示された順番でこれらの通りに進めるものというわけではありません。
ジェンドリンが述べているように、フォーカシングは「そこに何かがあることはわかっているけれど、まだそれが何なのか言葉にして伝えることができないものに触れる時間を持つこと」(*)です。
(この、そこにある何か、まだそれが何なのか言葉にして伝えることができないものを、フェルトセンスといいます)
要は、自分のプロセスに合う形で、フェルトセンスに触れ、それを表現し、その表現がフェルトセンスに合っているか確かめ、理解するという一連の作業ができればよいのです。
*:ジェンドリンへのインタビュー記事(2005年(平成17年)11月27日(日曜日)北海道新聞 朝刊 全道遅版 総合 3ページ)より
フォーカシングするのが難しくなる時
そうはいっても、実際にやってみると進めるのが難しくなったり、行き詰まったりすることがあります。
そんな時には、次のようなことが起きているかもしれません。
- 事柄や考えばかりになり、フェルトセンスを感じられていない
- フェルトセンスから離れそうになっている
- フォーカシング的態度が取りにくくなっている
- フェルトセンスとの距離が近すぎたり遠すぎたりしている
- フェルトセンスと表現がしっくりくるか確かめていない
- フェルトセンスからの表現が出てこない
- 複数のフェルトセンスが生じている
- いわゆる批判家が出てきている
- フェルトセンスにどう関わったらいいかわからない
初心のうちは、こういったことが起きていることになかなか気づけず、フォーカシングすることを諦めたり、ひいては、フォーカシング自体に限界を感じてしまったりすることがあるかと思います。
フォーカシング自体に限界を感じてしまうのは、とてももったいなく残念なことです。
上記のようなことが起きていたら、ジェンドリンの『フォーカシング』やアンの『やさしいフォーカシング』などを見て、その時必要なセルフガイドの言い回しを見つけることができるでしょう。
ここでも、ご自分で進めるヒントになるようなセルフガイドを紹介します。
セルフガイドのヒント
事柄や考えばかりになり、フェルトセンスを感じられていない
聴いてもらいながらフォーカシングする時、フォーカシングしようとする状況や事柄について話すことにいつのまにか夢中になって、フェルトセンスを感じることを知らず知らず忘れてしまうことは、特に初心の内は珍しくないことです。
話すことに夢中になっていることに気づいたら、まずは立ち止まりましょう。
そして、
- 話しながらどんな感じがしているかなあ、、、?
- ここまで話して今どんな感じかなあ、、、?
- このことについてどんなふうに感じているかなあ、、、?
というような具合に、心の中でご自分に問いかけてみられたらよいと思います。
あるいは、実際に、そのようにしてみますと口に出していってみるのもよいでしょう。
そして、ゆっくり時間を取りましょう。
いかがでしょう、、、
なにかしら感じられてくるものがあるのではないでしょうか。
フェルトセンスから離れそうになっている
フェルトセンスから離れてしまいそうになるのにはいくつかの訳がありそうです。
- 事柄や考えが浮かんで、そちらに引っ張られる
- フェルトセンスに対して、嫌な感じや恐れ、あってはならないなど否定的な気持ちが出てきている
- 評価やこうあるべきという押し付け、いわゆる批判家、こうしたらいいのだという説得などが働いている
- フェルトセンスをうまく感じられなくて焦っている
- フォーカシングを早く進めようと先を急いでいる
- 肯定的な変化を起こそうとしている
などなど、、、
いずれの場合も、
- まずは立ち止まり、
- 時間を取り、
- 今何が起きているかなあ、、、?と自分に問いかけ、
- 起きていること、出てきていることに気づき、
- 1つ1つ出てきていることを分かってやる、
- 今そんなふうなんだなあと全体を分かる、
ということが役立つように思います。
そうすることで、
で、今の感じは、、、?と、フェルトセンスに戻ったり、
次に必要な方向が感じられてきたりするのではないでしょうか。
(続く)